14歳の恋

 

14歳の恋 1 (楽園コミックス)

14歳の恋 1 (楽園コミックス)

 

 たまに自分が好きな漫画をごり押ししたくなるので、記事にまとめていくことにする。

 

まず一本目は「14歳の恋」。

 

もう大人なので、青春漫画はちょっと……と思う人もいるかもしれないが、この漫画は14歳の恋だけがテーマではない。

この漫画の面白いところは、14歳の少年少女たちが、大人の仮面をかぶってると「思い込んで」中学生活を送っているところだ。

 

読んで見ると非常に主人公たちは心が幼い。幼いが大人っぽい外見ゆえに「大人にふりをしている」と本人たちは思っている。

しかし一話で気が付くのだ。

前よりずっと美しくなった髪の毛、自分と同じ高さにあると思っていたのに、自分より高い身長。

大人のふりをしていたと思っていたが、本当に大人になりはじめていたのだ。

私はこの一話でぐっと心を掴まれた。

タイトルだけ読むと、幼い子供たちが背伸びをして恋をする話だろうと勝手に思ってたからだ。

違う。

14歳という大人でもない、子供でもない、またその両方が存在する年齢を見事に書ききっている。

なにより絵が美しいのだ。

伸びた身長、伸ばした指先、透けた肌、髪の毛をアップにしたときの後ろの首。

繊細な絵で書かれているからこそ、許される表現が多い。

文章で書いても面白みが足りない……おんぶされた時に見えてしまう太ももなど、漫画だからこそ光る話も多い。

 

現在8巻まで出ているが、その間に出てくる音楽教師と生徒の話も非常に面白いし、バスでしか会えないお姉さんに恋する生徒など、主人公たちを取り巻く小話も魅力的だ。

 

この漫画は14歳の子が読む本ではなく、大人になった私たちが読む青春漫画だと思う。

暑苦しくもなく、説教もなく、無駄な軽さもない。

また「こんな青春を過ごしたかった…」系でもない。

自分が毎日仕事をして暮らしている中で、こんな風に恋をしている中学生がいたら素敵だな、きっと私が気が付かないだけで、このバスの中にもいるのかな……。

そんなふうに少しだけ世界に色を付けてくれる漫画だと思う。

 

電車の隣に座っている子が素敵な恋をしていますように。

だったら聞かせて? そんな気分になりたい人はぜひ読んでみてほしい。